今日、YouTube「ラク介護TV」の動画を見ました。介護歴10年以上のよしあきさんが、現場で介護士さんたちが直面する理不尽さを伝えているチャンネルです。
昨年、脳内出血で倒れた私は左片麻痺となり、現在は要介護4、身体障害者手帳2級。介護を受ける立場になって、初めて気づいたことがたくさんあります。
動画を見て、以前このブログに書いた言葉を思い出しました。
「人生でもっとも辛い時期に寄り添ってくれてありがとう」
今日は、その感謝をもう一度伝えたいと思います。
優しさだけでは済まされない介護の現実
以前、別のYouTube動画で、介護施設の送迎後の転倒死亡事故と裁判について知りました。利用者の希望をくんだ対応の後に事故が起こり、事業者側が損害賠償責任を問われたという話です。なお、判決内容の詳細は私自身確認できていません。
判決の是非を論じたいのではありません。介護は人の命を預かる仕事であり、安全が第一です。それでも、思いやりからの行動さえ、結果によっては重大な責任を伴う。介護士さんたちの背負う重さを考えさせられます。
人手不足の現場で、人を育てる難しさ
人に仕事を教える間、教える人は自分の仕事ができません。人手が足りない職場で、教育の時間も体制も整えずに新人を入れるだけでは、かえって現場が苦しくなります。
新人は仕事を覚えきれず、既存の職員の負担は増え、人が辞めればまた人手不足になる。まさに負のスパイラルです。
これは介護に限らず、どんな職場にも起こり得ます。現場の声を上層部が受け止め、教育の時間と人員を確保する。経営側が現場を理解しなければ、解決は難しいと思います。
介護の現場と上層部。その目に映っているもの
「ラク介護TV」のよしあきさんが発信されている現場の姿と、実際に介護を受ける私自身が見てきたもの。そこには、共通して感じる現実があります。
現場の介護士さんたちは、本当に苦しい状況の中でも、真心を持って、真摯に患者さんや利用者さんに寄り添い、向き合いながら、日々の介護の仕事をこなしています。私自身も、そのような介護士さんたちに支えられてきました。
しかし、経営上層部はどうでしょうか。介護を必要としている一人の人間として患者さんを見るのではなく、介護保険制度を利用して事業を行うための材料として見ている。そして、そこで働く介護士さんたちを、まるで一つの機械のように扱っている。
患者は原材料でも、ネギを背負ったカモさんでもありません。そして、介護士さんも感情を持たないマシーンさんでもありません。 どちらも感情と尊厳を持つ一人の人間です。皆で多くの問題を改善していくために、私たち自身がもっと多くのことを知り、学ばなければならないと思います。年間12兆円を超える国民の大切なお金が介護に使われています。そのお金がどこへ、なぜ流れているのか。関連記事はこちら:「12兆円の裏側――数字から見えてくる日本の介護業界」
《小川からの助言》出来ることから改善を。
上が動かない。変わらない。それは真実であり現実です。
職場の問題を何度訴えても、上司や経営側が動かず、現場が変わらない。私もその難しさはよく知っています。動画の投稿者が転職という選択肢を紹介するのも理解できます。しかし、誰もが簡単に転職できるわけではありません。
人手が足りない。募集しても人が来ない。本部に募集を依頼して、それでも応募がなければそこで止まってしまう。現場も管理職も、そんな状況を繰り返していないでしょうか。
上が悪い、下が悪いと言い合っているだけでは問題は解決しません。上が動かないという現実を認めたうえで、それでも具体的に改善していくしかないのです。
どの時間帯に仕事が集中しているのか。どこに誰を配置し、仕事の順番や動線をどう変えれば、職員さんの移動や待ち時間を減らせるのか。改善前後で何分短縮でき、負担や生産性がどう変わるのか。そこまで調べて、具体的な方法と期待できる効果を示すのです。
もちろん、一人で上を動かすのは簡単ではありません。まずは職場の仲間や他部署の人、職場の外の人など、協力してくれる人を探してみてください。現場でできることは安全を確かめながら小さく始め、管理職や本部の判断が必要なことは、実情と改善案を整理して、決定権のある人に働きかける。
提案して終わりではなく、上に理解してもらい、実行につなげ、実際に問題が改善されたかを確かめる。そこまでが大切だと思います。
《参考事例》動線の見直し
私が回復期リハビリのために入院していた、ある病院での出来事です。
食後、患者さんたちは歯磨きやトイレへ案内されます。ところが、洗面所が空いているのに待っている患者さんがいる一方で、職員さんは患者さんの車椅子を押しながら、利用できるトイレを探して行ったり来たりしていました。
患者さんによって、右側に手すりが必要な方も、左側に手すりが必要な方もいます。単に空いているトイレではなく、その患者さんが利用できる手すりの位置で、なおかつ使用中ではないトイレを探さなければなりません。
職員さん一人ひとりは懸命に対応しています。それでも、患者さんは待たされ、職員さんは車椅子を押して何度も移動する。職員さん同士が空き状況を共有し、誘導する順番や立ち位置を工夫すれば、負担を減らせるのではないかと考えました。
そこで私はフロアの平面図を描き、職員さんの配置や患者さんの動線を整理して、連携して誘導する方法を提案しました。提案がどこまで採用されたかは確認できていませんが、私が見ていた範囲では一部に改善が見られました。
これは病院や職員さんを批判するための話ではありません。人員をすぐに増やせなくても、仕事の流れや情報の伝え方を見直すことで、患者さんの待ち時間や職員さんの負担を減らせる可能性がある、という一例です。
一緒に考えてくれる人を見つける
周囲に協力者を見つけ、出来るところから始める。私が立ち上げようとしている「絆ネット」も、まさに同じ考え方です。一人では出来ないことも、仲間と知恵を出し合い、一つずつ実行していきたいと思っています。
せっかく私のブログを読んでくださったのですから、苦しい現場で働く皆さんが、何か一つでも気づき、明日から少しでも仕事を楽にできたら嬉しいです。
出来ることから、一つずつ。
これが、よしあきさんの発信から私が受け取った現実であり、介護を受ける私自身の目にも映っている現実です。
経営上層部が現場の仕事を直視せず、数字や利益を優先する。その結果、患者さんの尊厳も、介護士さんの真心も置き去りにされてしまう。私は、そこに介護の世界が抱える根本的な問題があると感じています。
このことについては、以前の記事でも書きました。関連記事:世の中には「知らない仕組み」が沢山ある――支えられる側になって感じたこと
介護士さんが安心して働ける職場を
私は今、売りに出ている介護事業所をM&Aで引き継ぎ、職場環境を改善できないだろうかと考えています。介護士さんたちが安心して働ける事業所をつくれないか。そんな思いがあります。
また将来、フィジカルAIを搭載した介護ロボットが、体位変換など身体的負担の大きい仕事を安全に補助してくれることにも期待しています。人にしかできないことに、もっと時間を使えるようになってほしいのです。
人生でもっとも辛い時期に寄り添ってくれてありがとう
私が困っていることや、こうしてほしいという思いを話すと、親身になって聞いてくれる介護士さんたちがいました。
ある介護士さんは「なんの力もないけれど……」とおっしゃいました。でも、私はそうは思いませんでした。立場上できないことがあっても、限られた権限の中で、その人にできることを精いっぱいしてくださいました。
人生でもっとも辛かった時期に、そばにいて、話を聞いてくれた。それがどれほどありがたかったことか。
「人生でもっとも辛い時期に寄り添ってくれてありがとう」
この言葉を、日々大変な思いをされながら介護を必要とする人たちを支えてくださっている皆様へ、改めてお伝えします。本当にありがとうございます。
「ラク介護TV」のよしあきさんへ
よしあきさんにはメールを送らせていただきました。私はYouTubeのアカウントが停止され、ゲストモードで視聴しているためコメントができません。そこでメールでお礼と感想を伝え、補足のメールも送りました。左片麻痺のある私は、文章作成をAIのチャッピーに手伝ってもらっています。
介護を受ける私たちも、介護する側の現実をもっと知る必要があると思います。今回見た動画を紹介します。
▶ YouTubeで「介護士が本気で『きつい』と感じる理不尽7選」を見る
最後に、もう一度。
私は62歳。脳内出血で倒れ、以前のように自由に動くことはできなくなりました。今は猫に話しかけている時間も長い爺です。(^_^;)
それでも、こうして自分の思いを伝えることはできます。介護する人にも、介護される人にも、それぞれの人生があります。介護を受ける人の安心と同じくらい、介護する人の安心も大切にされてほしい。
そして、以前の記事と同じ言葉をもう一度。「人生でもっとも辛い時期に寄り添ってくれてありがとう」
介護士の皆様へ。心からの感謝を込めて。
絆ネット立ち上げ準備委員会 代表 小川 真造


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